DPC算定患者でも遠隔連携診療料900点は算定できる
DPC/PDPSで算定している入院患者であっても、B005-11「遠隔連携診療料 3 入院診療の場合 900点」は、所定の算定要件を満たせばDPCレセプトの出来高部分として算定できます。
この結論は、医科点数表、DPCの疑義解釈、医科診療行為マスター、マスターファイル仕様説明書を順番に確認することで導けます。
1.入院患者に900点が設定されている
令和8年度の「別表第一 医科診療報酬点数表」では、B005-11 遠隔連携診療料について、次の3区分が設定されています。
B005-11 遠隔連携診療料
1 外来診療の場合 900点
2 訪問診療の場合 900点
3 入院診療の場合 900点
したがって、入院中であること自体は算定を妨げません。令和8年度には「3 入院診療の場合」が900点として明示的に評価されています。
根拠資料
- 厚生労働省「別表第一 医科診療報酬点数表」
- 令和8年度診療報酬改定_医科点数表_告示第69号.pdf
- PDF p.126
- B005-11「遠隔連携診療料」
2.DPCではすべての診療行為が包括されるわけではない
次に問題となるのは、DPC/PDPSで算定している患者の場合、遠隔連携診療料900点がDPCの包括評価に含まれてしまうのかという点です。
DPCでは、診療行為によって扱いが異なります。
令和8年度のDPC疑義解釈でも、DPC算定病棟に入院中の患者について、DPCの包括対象外となる診療行為は別に医科点数表に基づいて算定できる一方、包括範囲内の診療行為は別途算定できないことが示されています。
したがって、遠隔連携診療料の算定可否を判断するには、B005-11がDPC上で包括扱いなのか、出来高扱いなのかを確認する必要があります。
根拠資料
- 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その2)」
- 令和8年度診療報酬改定_疑義解釈_その2.pdf
- PDF pp.71–72
- 「11. 対診・他医療機関受診の取扱いについて」
- 問11-2、問11-3
3.医科診療行為マスターでB005-11を確認する
厚生労働省が公開している令和8年度「医科診療行為マスター」で、B005-11「3 入院診療の場合」に対応するレコードを確認すると、次のように登録されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診療行為コード | 113715010 |
| 名称 | 遠隔連携診療料(入院診療の場合) |
| 点数 | 900点 |
| コード表用番号 | B 2-01-005-11-003 |
| DPC適用区分 | 1 |
コード表用番号の B 2-01-005-11-003 は、B005-11の項番003、すなわち「3 入院診療の場合」に対応します。
ここで重要なのが、DPC適用区分が 1 であることです。
根拠資料
- 厚生労働省「令和8年度 医科診療行為マスター」
- ファイル
s_20260731.csv(医科診療行為マスター (537KB)) - 診療行為コード
113715010 - 「遠隔連携診療料(入院診療の場合)」
4.DPC適用区分「1」は出来高算定可能を意味する
DPC適用区分の数字だけでは意味が分からないため、厚生労働省の「令和8年度版マスターファイル仕様説明書」で定義を確認します。
医科診療行為マスターの項番18「DPC適用区分」では、主に次のように定義されています。
| DPC適用区分 | 意味 |
|---|---|
0 | 診断群分類(DPC)点数表に規定する点数に含まれる診療行為(包括評価対象) |
1 | DPCレセプトの出来高部分で算定可能な診療行為 |
B005-11「遠隔連携診療料(入院診療の場合)」のDPC適用区分は 1 です。
したがって、この900点はDPC包括部分に含まれる診療行為ではなく、DPCレセプトの出来高部分で算定可能な診療行為であることが確認できます。
判定ロジック
つまり、
「DPCだから遠隔連携診療料を算定できない」わけではありません。
B005-11「遠隔連携診療料(入院診療の場合)」にはDPC適用区分 1 が設定されており、公式仕様上、DPCレセプトの出来高部分で算定可能です。
ただし、DPC適用区分 1 は、それだけで900点の算定要件をすべて満たすことを意味しません。
入院診療の場合には、対象患者、施設基準、患者同意、事前の診療情報提供、専門的な診療を行う他の医療機関との情報通信機器を用いた連携診療など、B005-11固有の要件があります。また、算定は3月に1回です。
したがって最終的には、
DPC算定患者であっても、B005-11はDPC適用区分「1」であるため、DPCレセプトの出来高部分で算定可能である。そのうえで、B005-11「3 入院診療の場合」の算定要件を満たした場合に900点を算定できる。
と判断できます。
参考文献
-
厚生労働省「別表第一 医科診療報酬点数表」
- B005-11「遠隔連携診療料」および「3 入院診療の場合 900点」を規定。
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00074.html
-
厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その2)」
- DPC包括対象外の診療行為は別途算定可能、包括範囲内の診療行為は別途算定不可であることを確認。
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00074.html
-
厚生労働省 診療報酬情報提供サービス「令和8年度診療報酬改定」
- 令和8年度の医科診療行為マスターを公開。
- https://shinryohoshu.mhlw.go.jp/shinryohoshu/kaitei/
-
厚生労働省「令和8年度 医科診療行為マスター」
- 診療行為コード
113715010「遠隔連携診療料(入院診療の場合)」を900点、DPC適用区分1として収録。 - https://shinryohoshu.mhlw.go.jp/shinryohoshu/downloadMenu/sFile
- 診療行為コード
-
厚生労働省「令和8年度版マスターファイル仕様説明書」
- 医科診療行為マスター項番18「DPC適用区分」を定義し、
1を「DPCレセプトの出来高部分で算定可能な診療行為」と規定。 - https://shinryohoshu.mhlw.go.jp/shinryohoshu/file/spec/R08rec1.pdf
- 医科診療行為マスター項番18「DPC適用区分」を定義し、
-
厚生労働省「令和8年度版マスターファイル仕様説明書 ファイルレイアウト」
- 医科診療行為マスターのフィールド構成とDPC適用区分の位置を確認。
- https://shinryohoshu.mhlw.go.jp/shinryohoshu/file/spec/R08rec3.pdf
